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News (ニュース)


ISSUE Vol.6 BRA’Sから見る、食と街のつながり
Gastronomy is Not About Haute Cuisine 人口3万人ほどのブラに、こんなに人がいたのか。街を歩きながら、何度もそう思った。 ブラ名物のサルシッチャ(ソーセージ)をテーマにしたイベント、BRA’S。運営しているのは、ピエモンテ州、地元の商業者団体Confcommercio Ascom Bra、そしてブラ市。Slow Foodや食科学大学が翌週のSalone del Gustoの準備を進める一方で、こちらでは行政と地元の商業者が中心となって、食を通じて街を盛り上げていた。 広場には食べ物のブースが並び、クッキングショーが開かれ、夜にはDJの音楽が流れる。金曜日の夜に訪れると、食べたり飲んだりしながら過ごす人たちでにぎわっていた。 私はイタリアのこうしたイベントの雰囲気が大好きだ。 私もチーズやサラミを盛り合わせたタリエーレを食べた。おいしいものがある一方で、列が長かったり、フォカッチャが少し乾いていたり、チーズが濃厚で思った以上にお腹にたまったり。友達とあれこれ感想を言い合う時間も、お祭りの一部だった。...
読了時間: 4分


Case 3: 食との付き合い方を考え直す
Questions I Never Thought to Ask イタリアで暮らす中で、日々の生活や身体の不調をきっかけに、「なんでこれを習わないんだろう?」「知らないのって私だけ?」と思うことが何度もあった。もちろん、学校で習ったのに私が忘れているだけかもしれない。自分で調べ、試しながら、少しずつ自分の身体や暮らしを知っていく。自分のことが分かれば、きっと誰かのこともケアできるようになるのだと思う。 このシリーズでは、日常の基本的な知識からイタリア暮らしのちょっとした工夫まで、そうして学んだことをシェアしたい。 食べることも勉強、と思っていたけれど 私は小さな頃から食べることが好きで、この食科学大学に入学した。知らない料理を食べたり、同じ食材でも品種やつくり方による違いを比べたり。ここでは、食べることも勉強になる。そう思うと、食べる理由はいくらでも見つかる。「せっかくここまで来たのだから」「これも知っておいた方がいい」「次はいつ食べられるか分からない」。いつの間にか、食べることが少し義務のようになっていた。その結果、食べすぎて体重のコントロール
読了時間: 5分


Case 2: 買った後の、食材のお世話
Questions I Never Thought to Ask イタリアで暮らす中で、日々の生活や身体の不調をきっかけに、「なんでこれを習わないんだろう?」「知らないのって私だけ?」と思うことが何度もあった。もちろん、学校で習ったのに私が忘れているだけかもしれない。自分で調べ、試しながら、少しずつ自分の身体や暮らしを知っていく。自分のことが分かれば、きっと誰かのこともケアできるようになるのだと思う。 このシリーズでは、日常の基本的な知識からイタリア暮らしのちょっとした工夫まで、そうして学んだことをシェアしたい。 買い物から帰ったあと 冷蔵庫から野菜を取り出すと、袋の底に水がたまっていて、いつの間にかぬるぬるしたりシワシワしたりしている。「買った時はあんなに新鮮で、冷蔵庫にも入れていたのになんでこんなにあっという間に悪くなっちゃうんだろう?」 イタリアで暮らし始めて最初の疑問だった。スーパーで食材を選ぶことには関心があったけれど、保存については「冷蔵庫に入れる」「袋を閉じる」くらいの感覚しか持っていなかった。調べるうちに、何を買うかだけでなく、家
読了時間: 11分


Case 1: 肌の炎症・スキンケアと食事
Questions I Never Thought to Ask イタリアで暮らす中で、日々の生活や身体の不調をきっかけに、「なんでこれを習わないんだろう?」「知らないのって私だけ?」と思うことが何度もあった。もちろん、学校で習ったのに私が忘れているだけかもしれない。自分で調べ、試しながら、少しずつ自分の身体や暮らしを知っていく。自分のことが分かれば、きっと誰かのこともケアできるようになるのだと思う。 このシリーズでは、日常の基本的な知識からイタリア暮らしのちょっとした工夫まで、そうして学んだことをシェアしたい。 8月、イタリアの別の街でインターンをしていたとき、肌が荒れてしまった。新しく買った香料入りの日焼け止めがきっかけだったのかもしれない。その後も旅行中に日差しを浴び続け、戻ってからは何とかしたくてビタミンC入りのパックを朝晩使ったけれど、かえって荒れてしまった。結局、新しい製品を重ねるのをやめ、刺激を感じにくい製品で保湿し、帽子や日傘で日差しを避けるようにした。私に必要だったのは、足し算よりも引き算のスキンケアだった。...
読了時間: 11分


はちみつ:ある風景と時間を閉じ込めたもの
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY 日本で育った私にとって、蜂蜜の使い道は2つくらいしかなかった。喉が痛いときにスプーンでひと口舐めるか、ヨーグルトにかけるか。パンケーキやフレンチトーストになると蜂蜜の味は強すぎる気がして、メープルシロップを選んでいた。「蜂蜜 or メープルシロップ?」くらいの基準しか持ち合わせていなくて、蜂蜜の瓶を選ぶときに花の名前を見た記憶もない。あれはなんの花だったんだろう。笑 だから大学の「The Art and Culture of Honey」の授業で、ワインのように花によって蜂蜜の味を比べ、料理に合わせると聞いて、新しい世界の扉が開いた。 講義をしてくれたのは、トレンティーノのヴァル・ディ・ノンに拠点を置く家族経営のブランド、Mieli Thunだった。彼らは花の開花を追い、巣箱をイタリア各地へ運ぶ「移動養蜂」をしている。採蜜場所は60か所以上。目当ての花が咲く短い時期に合わせ、蜂が巣に戻った夜に移動する。授業では、パドヴァ、マントヴァ、トレン
読了時間: 6分


Issue Vol. 5 —変わりながら、残るもの——イタリアで過ごした夏に考えたこと
Gastronomy is Not About Haute Cuisine Made in Italyは、「ブランディング上手」のことなのか 留学に来る前、私は「イタリアは小さな街から世界に向けて直接ビジネスをし、Made in Italyというブランド化に成功している」「ブランディングが苦手な日本は見習うべきだ」といった話を、日本の記事でよく目にしていた。でも、実際にここで暮らし、メーカーで働いてみると、「イタリア人はブランディングが上手」という、そんな簡単な話ではなかった。 1. 「ローカルをグローバルにする力」ではなく、「ローカルをローカルのまま、ものすごく厚くする力」 私が驚いたのは、ちょっと変!とも言えるレベルで、ローカルで固有なものを、狭いままずっと掘り続けていることだった。 この夏、私はインターン先のマントヴァを拠点に、北イタリアのいろんな街へ日帰りで出かけることを楽しんでいた。同じ詰め物パスタでも、具の量や丸め方、材料が一つ違うとか、本当に小さな差があって、彼らは街ごとにそれぞれ名前をつけて、「自分たちの方が隣の街より優れている」
読了時間: 10分


マントヴァの水辺で考えた、食と伝統
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY 8月のイタリアで、最も存在感の大きい日の一つが、8月15日のFerragosto(フェッラゴスト)である。その名前は、古代ローマ時代に初代皇帝アウグストゥスが設けた休息の期間 Feriae Augusti に由来する。その後、キリスト教の暦では8月15日が聖母マリアの被昇天を祝う日となり、現在ではイタリアの夏休みのピークでもある。日本のお盆の時期とも重なり、多くの店が閉まり、人々は海や山に行ったり、友人や家族と食事をしたりして過ごす。街全体が「バカンス」という雰囲気になる。 そんなFerragosto前日の14日、私はインターン先の先輩に勧められて、マントヴァ近郊の小さな町Grazie di Curtatone(グラツィエ・ディ・クルタトーネ)で開かれる「Antichissima Fiera delle Grazie」というお祭りへ向かった。 向かう途中に立ち寄ったバールで、耳寄りな情報を手にした。 「明日15日の朝7時に、熱々のコテキーノ
読了時間: 8分


その土地を食べる:「重なり」としてマントヴァを食べる
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY マントヴァという北イタリアの街で、夏の一ヶ月間インターンをする機会を得た。この街で一番好きな景色は、滞在している家から中心部へ向かう途中、サン・ジョルジョ橋(Ponte di San Giorgio)から見る風景だった。 サン・ジョルジョ橋に差しかかると、それまで続いていた陸の世界が途切れて、視界の両側が湖に囲まれる。その向こうに、水に浮かぶような街が現れる。低く広がる水面の先に宮殿や城、教会の輪郭が見えるのが、まるで映画のワンシーンのようで、何度通っても見惚れてしまう。 私がマントヴァを面白いと思う理由 ① 古代から都市が継ぎ足されてきた マントヴァを歩いていると、大きな広場や道が何度も現れ、街の中心が一か所ではなく、いくつもに分かれているような感覚がある。実際、マントヴァは古い街をすべて消して作り直したのではなく、前の時代の都市の上に、次の時代が描き足されながら外側へと広がっていった。だから歩いていると、違う時代が同じ街の中に重なって
読了時間: 8分


Issue Vol. 4 — 「Japanese」という言葉を考える〜生きている日本文化とは何か〜
Gastronomy is Not About Haute Cuisine ヨーロッパで暮らすようになってから、「Japanese」という言葉の使われ方について考えるようになった。日本人が営む日本料理店や抹茶カフェへ行くと、「IKIGAI」「ZEN」「DO」「WABI-SABI」といった言葉を目にすることが多い。日本らしい器や空間、美しく整えられたインテリアとともに、それらは一つの「Japanese」という世界観として提示されている。 しかし、その光景を見るたびに、どこか引っかかるものがある。そこには日本を象徴する言葉は並んでいる。しかし、それらがどのような暮らしの中から生まれ、どのように今も生きているのかという文脈は見えにくい。おそらく、それは私自身が「禅」や「侘び寂び」を意識して生きてきたわけではないからだと思う。日本文化は展示される概念ではなく、今も日常の中で繰り返されている生活そのものではないだろうか。 海外では、「日本人は何教なのか」と尋ねられることがある。以前の私は、「特に宗教はない」と答えていた。しかし、日本の歴史を学び直すなかで、
読了時間: 5分


「カレー」が辿ってきた道
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY 「インドには“curry”という料理はないんだよ。」 インド出身の友人がそう言った。その意味がすぐには理解できず、それまでカレーはインドの国民料理だと信じて疑わなかった私は、混乱してしまった。 南インド(タミル・ナードゥ州)出身の友人が作ってくれた、お母さんのフィッシュカレー! 日本人にとってカレーは、唐揚げやハンバーグと並ぶ、子供から大人まで好きな家庭料理である。「今日はカレー」と言えば、誰もが同じようなあの料理を思い浮かべる。 しかし彼女にとっては、「カレー」という一つの料理が存在すること自体が不思議なのだという。インドには、地域ごとに異なる名前を持ち、異なるスパイスを使う料理があり、調理法もさまざまだ。つまり、インドには、日本のカレーライスのように一定の姿を持った「カレー」という単一の料理があるわけではない。私たちが「カレー」と呼んでいるものは、多様な料理を外側からひとまとめにした呼び名でもあるのだ。 数日後、今度はマレーシア出身の友
読了時間: 6分


なぜ私たちは健康を機能単位で買うようになったのか
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY ある日、イタリアのスーパーでヤクルトを見つけた。 思わず立ち止まった。「イタリアにもあるんだ。」 その後の食科学大学の授業で腸内環境について学ぶ中で、日本のスーパーやコンビニにおける乳酸菌飲料や機能性ヨーグルトの充実ぶりは、海外から見るとかなり特殊な存在なのだと知った。日本では当たり前だと思っていた光景が、急に奇妙に見えてきた。 台湾出身のクラスメイトからも、「日本は機能性食品が多い国」という印象を持たれていた。 私自身も、日本にいた頃「ヤクルト1000を飲めば二日酔いしない」と言う友人に影響され、飲み会帰りにコンビニへ寄ってせっせと飲んでいた時期がある。睡眠の質を改善する。ストレスを和らげる。内臓脂肪を減らす。免疫機能を維持する。花粉症対策。 「腸に良い」という一言では収まらないほど、一つひとつの商品が違う役割を掲げている。 先日、オランダの大学を訪れた。 オランダはサステナブルや健康志向の強い国だ。学食の冷蔵ケースには、アイスランド
読了時間: 5分


オランダで見つけた、日本の薬味文化
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY 先日、大学のStudy Tripでオランダに行ってきた。 その中で特に印象に残ったのが、世界中のミシュラン星付きレストランをはじめ、多くのトップシェフから支持されるオランダの企業「Koppert Cress」への訪問だった。マイクログリーンやエディブルフラワーなどを料理人向けに生産・販売する会社で、単に食材を届けるだけではなく、新しい料理の発想やインスピレーションを届けている。 現在は60種類ほどの商品を展開しており、すべて温室で管理され、数週間という短いサイクルで栽培されている。栽培環境を細かく調整することで、表現したい料理のイメージに合わせて、フレーバーや色合い、見た目まで設計することができる。 Sushi MixやSakura Mix、Cocktail Mixなど、シェフは表現したい料理のイメージに合わせてオーダーすることができる。大根や紫蘇のほか、オイスターやオレンジジュースのような味わいのもの、砂糖を加えず自然な甘みを与えられるス
読了時間: 3分


イタリア人にとってパンとは何なのか
イタリアパン屋見習いシリーズ 最終回 LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY ブラの町のパン屋さんで分けてもらったスターターを使ってサワードウを焼き、感想を聞いてもらおうと翌日もう一度お店を訪ねた。それがきっかけで、数回にわたりパン作りを見習わせてもらえることになった。今回は体験記の最終回として、イタリアのパン職人が持つ製法におけるこだわりについて気づいたことをお届けしたい。 1, 「pasta」が指している範囲の広さ pastaと言ったら、あのイタリア料理の「パスタ」を思い浮かべる人が多いだろう。ところが、パン屋さんで働き始めると、イタリア語においてpasta という言葉が思っていた以上に幅広く使われていることに気がつく。 例えば、pasta madre は天然酵母、pasta sfoglia は折り込みパイ生地、pasta frolla はタルトやクッキー生地。ピザ生地も pasta per pizza と呼ばれる。つまり、イタリア人にとって pasta...
読了時間: 7分


イタリア人とパンの、ちょうどいい距離感
イタリアパン屋見習いシリーズ 第2弾 LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY ブラの町のパン屋さんに分けてもらったスターターを使ってサワードウを焼き、感想をもらいに翌日改めて訪ねた。それをきっかけに、数回にわたって見習いをすることになった。イタリアの「Forno(パン屋さん)」という場所で見た風景について、いくつか気づいたことがある。第2弾として、前回の続きをお届けしたい。 朝5時半。まだ真っ暗な工房に着く。街は静かなのに、パン屋だけはもう一日が始まっていた。 仕込みを進めているうちに、朝7時オープンのはずなのに、6時台から続々とお客さんがやって来る。「まだ開いてないのでは?」と思っていると、「お客さんが来る時間が開店時間だよ」と言って、普通に対応し始めた。イタリアのパン屋さんは、営業時間よりも「街の生活リズム」で動いている。 しかも、お客さんはみんな注文に迷わない。 私からすれば、イタリアのシンプルな食事パンはどれもよく似て見える。でも常連さんたちは、自分のお目当
読了時間: 5分


ISSUE VOL.3 カカオから考える、生物文化多様性とサステナビリティー
Gastronomy is not Haute Cuisine 毎年2月になると、日本の百貨店は世界中のチョコレートで埋め尽くされる。バレンタイン催事に長蛇の列ができ、人々は希少なブランドやショコラティエの物語に惹かれ、一粒に惜しみなくお金を払う。パリやブリュッセルでは宝石のようなボンボンショコラが並び、アメリカでは巨大企業がテーマパークを運営するなど、チョコレートは世界各地で特別な文化的価値をまとっている。 スイスの高級チョコレートのボックス。「どれにしようか」と選ぶのにワクワクする。 一方で、カカオ生産における森林破壊や労働問題が取り上げられるようになり、近年のBean to Bar運動は、生産地や品種、発酵方法、生産者との関係性へと消費者の視線を向け直してきた。これは、均質な工業製品としてチョコレートを消費してきた時代からの大きな転換である。 しかしそれでもなお、私たちはあまりにも多くの選択肢に囲まれている。商品に関する情報は増え続ける一方で、結局は話題性や評判、パッケージを手がかりに商品を選ぶことも少なくない。...
読了時間: 7分


生ものに対する価値観
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY ブラに到着して早々、大家さんが「この街名物のSalsiccia di Bra(生肉のソーセージ)を食べないと!」と言って、お肉屋さんに連れて行ってくれた。 カウンターの向こうのお肉屋さんは、快く味見をさせてくれた。日本にいた頃、生肉の独特な「ぐにゃっとむにょっと」した食感に苦手意識を覚えていた私は、少し身構えながら口に入れた。 心底驚いた。美味しい!! 柔らかくてなめらかで、でも少しだけ食感が残っている。その口当たりは、日本のネギトロを思い出させた。ほんのり甘い!!スパイスの独特な鼻に抜ける香りも、とても好みだ。 一口食べて衝撃を受ける私の表情 イタリアのプロシュートやサラミなどの加工肉文化では、古くから豚肉が使われてきた。 しかし、ブラ周辺はピエモンテ牛(ファッソーナ牛)の産地として知られ、高品質な牛肉文化が根付いていた。中世から近世にかけて、近隣のケラスコという街にはユダヤ人共同体があり、宗教上の理由から豚肉を食べられない人々がい
読了時間: 4分


100年続くパン職人の仕事
イタリアパン屋見習いシリーズ 第1弾 LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY ブラの町のパン屋さんに分けてもらったスターターを使ってサワードウを焼き、感想をもらいに翌日改めて訪ねた。それをきっかけに、数回にわたって見習いをすることになった。イタリアの「Forno(パン屋さん)」という場所で見た風景について、いくつか気づいたことがある。今回はそれを、3回にわたる連載形式でお届けしたい。 1, 「地域の炭水化物インフラ」を担うイタリアのパン屋さん まず驚いたのは、「こんなに色々作っているんだ!」ということだった。 毎朝、町のバールにコルネットや食事パンを配達する。週に数回は、ホテル向けのミニサイズのコルネットや名入りクッキーを作り、近郊のワイナリー向けにもパンを卸す。さらに、町の人気ハンバーガーショップ用のロゴ入りバンズまで焼いている。イタリアの町のパン屋さんが、こんなにもBtoBの仕事をしていることに驚いた。 植物炭の黒いハンバーガーバンズを焼いている様子...
読了時間: 7分


ガストロノミーは、高級料理のことではない。
Issue Vol. 2 —都市のフードシステムと「つながり」の喪失 1. 商品化される食と、人間的なつながりの喪失 食は「人権」であり、誰もが尊厳をもってアクセスできるべきものである。 しかし現代社会において、食は単なる「商品」として扱われている。 かつては、おばあちゃんや地域の人たちから、日々の暮らしの中で自然に受け継がれていた生活の知恵があった。旬の食材の美味しい食べ方、保存の仕方、食材を無駄にしない方法、そしてその日にあったことを話しながら夕飯を一緒に食べることの大切さ。 食は単なる栄養補給ではない。 人との関係を作り、文化を世代を超えて受け継ぎ、地域や季節を感じるための媒介でもある。つまり食は本来、社会全体で支えるべき、多面的で公共的な性質を持っている。 出典:Vivero-Pol(2017)をもとに、授業資料より再構成 しかし新自由主義の下では、食は「どれだけ利益を生み出せるか」という尺度で語られるようになり、本来共有されていた知識や営みは、お金を支払ってサービスや商品として購入するものへと変化していった。質の高い食へのアクセスは
読了時間: 7分


なぜ今、私たちは再び「酸味」を求めているのか。
LOST IN TRANSLATION: LIFE OF A JAPANESE GIRL IN ITALY 菌の世界は、ある意味とてもシンプルだ。 微生物もまた、私たちと同じように「食べて」いる。糖を食べて、身体を動かすためのエネルギーへ変換する。そして私たち人間は、その代謝の副産物を食べているのである。イタリアで暮らし始めてから、私はそんな微生物の世界を以前より強く意識するようになった。 乳酸菌。ミルクに含まれる乳糖を食べて、乳酸をつくる。得意技は凝固で、牛乳のタンパク質を、自分の作った酸の力でキュッと固めること。 ある日、エクアドル出身のクラスメイトに、スーパーで売っている牛乳と少量のヨーグルトから簡単にヨーグルトを増やせると教わった。しかも彼女は、牛乳やヤギミルク、ギリシャヨーグルトを組み合わせて、自分好みの味にしているらしい。 一見簡単そうだったので、私もやってみた。しかし見事に失敗した。原因は、牛乳を温めすぎてしまったことだった。彼女は「鍋に指を入れても何も感じないくらい」、つまり人肌程度が理想だと言っていたのに、その時の私は菌が活動で
読了時間: 6分


風味豊かで持続可能な未来創業者のビジョン
アンドレア・ラスカとのこの対談の 中心で、彼は食の未来とMoMの使命の原動力について独自の見解を語っている。彼は雑音を断ち切り、どうすれば私たちが真の変化を起こせるかについて、単刀直入に核心を突いている。 1.生涯の情熱」という言葉をよく耳にしますが、情熱が真空の中で生まれ...
読了時間: 6分
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