鉄板焼き ― 職人技と歴史に裏打ちされた “ライブクッキング” の文化
- ryoo31
- 4 時間前
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鉄板焼きとは何か
「鉄板焼き(Teppanyaki)」とは、「鉄板(teppan)=鉄の板」と「焼き(yaki)=焼く・炒める」を組み合わせた言葉に由来する料理スタイルである。平らな鉄板の上で肉、魚介、野菜などを焼くことで、均一かつ強い熱が食材に加わり、外は香ばしく、中はジューシーに仕上がる。さらに多くの鉄板焼き店では、料理人が客の目の前で焼き上げるライブ感を伴うサービスを行うため、「食べるだけ」でなく「見る・感じる」体験ができる点に大きな魅力がある。

ステーキやBBQとの違い:鉄板焼きの独自性
鉄板焼きは、単なるステーキやBBQとは異なる。ステーキやBBQでは、炭火や焼き網、フライパンなどを使って加熱し、焼き目や直火の香ばしさ、スモーキーな風味を重視する料理が多い。一方、鉄板焼きでは「平らで熱を均一に伝える鉄板」を使うことで、食材の内部までじっくり熱を通しつつ、水分や旨味を保つ焼き上がりが可能である。また、鉄板の前に座って料理人を見ながら食べるというスタイルは、日本独自の “おもてなし+エンターテインメント” の性格を持つ。料理過程そのものがショーとして成立する点で、他の焼き料理とは一線を画す。
鉄板焼きの起源と歴史
鉄板焼きの起源は、戦後まもない日本にあるとされる。1945年、神戸市にあった西洋風ステーキ店「みその」が、造船所で手に入れた鉄板を利用し、客の目の前でステーキなどを焼いて提供したのが、現代鉄板焼きの始まりである。
この形式は、当時日本に駐留していた外国人に非常に好評だった。彼らは西洋料理に近いステーキを、 “目の前で焼いてくれる” というパフォーマンスとともに楽しんだという。そうした外国人客の需要を背景に、鉄板焼きのスタイルは日本国内のみならず、後に海外にも広がっていった。

つまり、鉄板焼きは日本で生まれ、日本発祥と認められているスタイルである。単なる伝統的和食ではなく、戦後の食文化や国際交流の影響を受けながら誕生した、 “近代日本料理文化のひとつ”と位置づけられる。
鉄板焼きは日本が生んだ“新しい和食の形”
鉄板焼きは、古くからの和食伝統ではなく、戦後の日本で誕生した比較的新しい料理文化である。それゆえに、焼き方、提供スタイル、食材、顧客との距離感──すべてにおいて従来の料理観を刷新した新しい「食の体験」を提示した。職人の技、ライブ感、そして素材の旨味。それらが一体となる鉄板焼きは、日本が世界に誇る文化として、今なお多くの人々を魅了し続けている。








