英国の最新予算案:誰が得をし、誰が負担するのか—飲食業と生活者の現実
- faridam7
- 5 時間前
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今回の英国予算案は、表向きには「バランス」を掲げながら、実際には「誰が食べ、誰が払い、誰が生き残るのか」という交渉である。賃金は上がり、生活コストも上がる。救済を約束しながら、同時に別の形で負担が回ってくる。その緊張が社会全体に漂っている。
2026年までにナショナル・リビング・ウェイジ(全国生活賃金)が12.71ポンドへ引き上げられることは、労働者にとって大きな前進である。賃金が伸びれば、生活の不安定さは確かに和らぐ。労働の尊厳を認める動きとも言える。
しかし、すでにエネルギー価格や食材費高騰に苦しむレストランやカフェにとって、これは新たな負担だ。オーナーは従業員の生活を守りたい一方で、店を続ける体力も求められる。提供される一皿には政策の重みが乗り、店は公平と生存の間で揺れている。
また、今回の予算案では小売・飲食業を対象とした事業税(Business Rates)が恒久的に引き下げられる一方、従来の40%割引制度は廃止される。改革なのか、単なる調整なのか——企業が得をするのか、それとも現状維持に過ぎないのかは依然として不透明である。
さらに、砂糖税が高糖度ミルク飲料にも拡大されることが決定した。健康政策としては歓迎すべき一歩であり、食品産業に対して「健康的な選択」を促すシグナルである。企業にとっては新たな商品開発の促進要因ともなるだろう。
これらを総合すれば、議論はもはや抽象的な経済の話ではない。家庭の食卓や店舗の厨房に直結する話である。スープ一杯の値段、そして店が明日も灯りをともせるかどうか。苦しい家庭ほど、支援と負担が同時に押し寄せてくる構図は深刻だ。
そして残された核心の問いはこれである。英国は本当に「人々を nourish(養う)」食の産業を築こうとしているのか。それとも、ただ生き残らせるだけなのか。
政策立案者に伝え続けなければならない。税や賃金の数字の背後には、ひとつの食卓、ひとつの生活、ひとつの物語があるということを。
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