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Case 3: 食との付き合い方を考え直す

19 時間前
読了時間: 5分

Questions I Never Thought to Ask


イタリアで暮らす中で、日々の生活や身体の不調をきっかけに、「なんでこれを習わないんだろう?」「知らないのって私だけ?」と思うことが何度もあった。もちろん、学校で習ったのに私が忘れているだけかもしれない。自分で調べ、試しながら、少しずつ自分の身体や暮らしを知っていく。自分のことが分かれば、きっと誰かのこともケアできるようになるのだと思う。

このシリーズでは、日常の基本的な知識からイタリア暮らしのちょっとした工夫まで、そうして学んだことをシェアしたい。

食べることも勉強、と思っていたけれど

私は小さな頃から食べることが好きで、この食科学大学に入学した。知らない料理を食べたり、同じ食材でも品種やつくり方による違いを比べたり。ここでは、食べることも勉強になる。そう思うと、食べる理由はいくらでも見つかる。「せっかくここまで来たのだから」「これも知っておいた方がいい」「次はいつ食べられるか分からない」。いつの間にか、食べることが少し義務のようになっていた。その結果、食べすぎて体重のコントロールに悩んだり、お酒を飲んだ後に食欲の歯止めが利かなくなったり。翌朝になって何度反省したことか。



お酒を飲むと、なぜ食べるのをやめにくくなる?

調べてみると、「空腹を感じること」と「食べるのをやめにくくなること」は、分けて考える必要があるようだった。


一つは、アルコールが、行動にブレーキをかける脳の働きに影響すること。普段なら「もう十分食べた」と手を止められる場面でも、飲酒後は、その判断を行動に移しにくくなることがある。女子大学生60人を、アルコールを飲むグループと、アルコールに似せた飲料を飲むグループに分けた実験がある。飲酒後に行動を抑える働きを測り、その後15分間、クッキーを試食してもらっている。アルコールを飲んだグループでは、課題の成績が低く、クッキーから摂取したカロリーが多かった。分析では、抑制機能の低下が食事の摂取量の増加に関わることが示唆されている。


もう一つは、食べ物への注意や、食べたい気持ちの変化だ。ある実験では、アルコールを飲んだ後に食べ物へ注意が向きやすくなり、間食したい気持ちや実際に食べる量も増えていた。ただし、同じ論文に含まれる別の実験では、こうした変化は確認されていない。飲酒が食べ物への反応を変える可能性はあるものの、いつも同じように起こるとは限らないようだ。


だから最近は、飲んだ後の自分の我慢だけに頼らず、飲み始める前にできることを考えている。空腹のまま飲まず、先に食事を取る。飲む量を決め、小さいグラスを選ぶ。お酒の間に水を挟む。友人の家でのホームパーティーなら、マイボトルに水を入れて持っていく。そんな小さな準備から変えてみたい。


食が好きな人の、食べ方

そもそも私は、食べることが大好きで、たくさん食べられる人が「フーディー」なのだと思っていた。いろいろな料理を知っていて、評判のお店に詳しくて、まだ食べたことのないものを次々に試す人。

でも、周りを見ていると、食への関心が別の形で表れている人たちもいた。どこで、誰が、どうつくったのかを気にかける人。自分がつくるもの、食べるもの、人に提供するものに、時間をかけて向き合う人。おいしいと思うものを選び、必要な分だけ買う人。


“I don’t want to eat any more, but I don’t want to waste food.”


もう食べられないけれど、食べ物を無駄にしたくない。だから普段から本当に欲しいときだけ買うようにしている、と話す友達がいた。「自分たちが思っているより、実際に必要な食べ物の量は少ない」という、別の友達の言葉も印象に残っている。


一人で全部食べなくても、味を知ることはできる。気になる料理は、最初から友達と半分こする。食べきれそうにない時は「少し食べない?」と声をかける。そうすれば、無理をせずにいろいろなものを味わえるし、感想を交わす楽しみもある。私はいつも、今のお腹の空き具合より、「これくらい食べるはず」「夜にはお腹が空いてしまうかもしれない」という想像で量を決めていたのかもしれない。食べきれないほど買ってから残すことに悩む前に、買う量や、最初に取り分ける量を見直す余地がありそうだった。


カルロ・ペトリーニの語る「pleasure」についても、自分の食べ方と重ねて考えるようになった。おいしい料理やワインを楽しむことは、私にとって大きな喜びだ。でも、満腹を通り越して食べ、翌朝後悔しているとき、私はどこまでその喜びを味わえていたのだろう。



オーガニックの野菜がどのように育てられているのかを知り、選ぶこと。つくり手の考えに触れて、自分がおいしいと思うワインを買うこと。原材料を見て、自分が何を食べているのかに関心を持つこと。そうした選び方を大切にしたい。



手間をかけてつくられたものには、それに見合う値段がついている。でも、毎日高いものを食べる必要はない。月に一度、気になるつくり手のものを買って、ゆっくり味わう。それ以外の日は、無理のない予算の範囲で、健康にも気を遣いながら食べる。そして、何を選ぶかだけでなく、買ったものを使いきることや、自分が無理なく食べられる量を知ることにも、気を配っていきたい。


おばあちゃんの「腹八分目」

おばあちゃんは、いつも「腹八分目」と言っていた。私は食べるのが好きだから、おいしいものはたくさん食べたいと思っていたけれど、今になって、その意味が分かった気がする。おいしかった、と思えるところで食事を終える。次の食事も、また楽しみにできるくらいに。


初めての料理に出会ったら、これからも食べてみたい。友達との食事も、ワインを囲む時間も楽しみたい。大事なのは、その楽しみと、自分が無理なく食べられる量とのバランスなのだと思う。自分のお腹の具合や気分にも、もう少し耳を傾けながら、これからも食べることを通して学んでいきたい。



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